メリットとデメリットを考える

病気の治療が必要な患者さんでも、全ての人が病院に入院して治療を受けることを選ぶわけではありません。病気で体が辛いからこそ、住み慣れた家と自分の布団で療養したいと願う人もいます。そのような時には、訪問診療を受けてくれる主治医を見つけ、在宅医療に切り替えることが可能です。環境が整えば、自宅でもがん治療などを受けることができます。点滴や輸液ポンプ、酸素濃縮器のような医療機器は主治医の指示で手配でき、点滴用の薬剤も取り扱う薬局に手配することができるのです。

在宅医療のメリットは、住み慣れた自宅で過ごせることや家族と共に時間を共有できることでしょう。これは、病気で苦痛が多い患者さんにとって、どれだけ大きな安心材料になるのでしょうか。また、食事に関しても、病院のように決められた時間ではなく、好きな時にいつも使っていた食器を使って食べられます。症状が安定している時なら、家族に囲まれていると、病気の治療中だということを一瞬でも忘れられるかもしれません。その人らしく、治療をしながら生きていけるのです。しかし、在宅医療にデメリットがないわけではありません。医師と看護師は定期的に訪問しますが、常駐しないのである程度の医療行為は家族や本人が実施する必要があります。点滴の切り替えや抜針・傷の消毒など、家族に委ねられることはさまざまです。そして、病状が悪化した時の不安感は常に付きまとい、介護負担が増えるため家族も楽ではないこともあります。どちらを安楽と考えるかは、その患者さんや家族によって違うのが現状です。